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[10] 右京
お前の役割は大切だよ。無粋なんてとんでもない。この吉原において無粋が居るとすればそれは一部のお客サマくらいのものさ。
私の母親はそんな事をする暇も無かったかけど、もう少し時間があればもしかしたら同じ事をしてくれたかも、しれないね。
…嬌声なんて、私としても、あまり聞かれていて気持ちのいいものでは無いけどね。なんならそれが聞こえないくらいに遠くに居ても構わないんだよ?何かあればそこに聞こえるくらいの大声を出すからね。
…私としてはいつでも呼んでもらって構わないよ。子供の頃から姿を見かけていた相手だ。だからこちらもお前の名前を覚えているのだし、ね。
……さて、そろそろこちらでの会話はお暇した方がいいかな。何かあれば呼んでくれよ。応えるから。
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(鳴き声にぴくりと肩を震わせる彼にこれもダメか、と。相手がいかにこれを嫌っているかは理解しているし無理強いはしたくない為、それ以上近付かず、近づかせず。体を軽く捻るようにして彼の目に出来るだけ手の中の毛玉が映らぬように務めてやり。)
やっぱりそこなんだよねぇ。…わざわざ世話のために禿を呼ぶ訳にも行かないし…、そも、見世の為にも生き物が居ると広めていい事ではないだろうし…。高瀬のじぃさまに頼むしか無いかなぁ。
(こちらとしてはほんの少しの情で助けたものをどうしたものか、位のことだと言うのに相手にとっては一大事らしい。元よりそこそこ自分に近しい彼にここまで嫌われるのでは飼うことは望めないだろうと少し考え、上客の1人である信頼出来る爺さんの事を思い浮かべて)