表示設定を共有できる[みんなの表示設定]を実装しました。オススメの表示設定を絶賛募集中です。

[28]
その間に問題が起こってもあんたは出てこれない、というのもあるかもしれないな。さすがに正面切って何かしでかしてくるのは阿呆だが、何故かやけに新規どもの態度が悪いとかな。 そう表現されると俺の方が酷く和やかで、背後がすごく笑っている。一応俺自身には十分絶望的だぞ? 回り回って不手際を起こしてしまった責任、とか言う感じか。高瀬の爺さんは背筋のぴんしゃんした粋な爺さんの印象があるなぁ ―――― (空が白むごとにそこかしこの見世の明かりがどんどんと数を減らし、客と見送りの女どもが大門に向かっては女だけが帰ってくる光景を何件も眺めていると、番頭から「お前も上がっていいぞ」と声がかかり、僅かに頭を下げることで返事に代えて。邪魔にならないよう棍を抱え込み、途中料理番から夕食代わりの握り飯を受け取りつつ、居住区域の自身に充てがわれた部屋へと向かい。部屋の端に棍を置いて四口程度で握り飯を食い終われば、井戸へ手洗いついでに身体を拭い、部屋へと戻れば布団を敷いてさっさと眠る体勢に入り) ――ッ!はっ、はっ……。 (障子から入り込んでくる光から逃れるように上掛けを頭から被り、浅い眠りに身を委ね始めていたが、同じ種類の生き物を目にしたためか、最も忌むべき記憶を夢という形で追体験してしまい、大汗をかきながら跳ね起きて。夢だとわかっていながらも治まらない鼓動に呼吸を荒げながら、今にもまた荒い吐息が耳裏に吹きかけられ、鋭い牙が向けられるのではないかと恐れるように両耳を押さえて蹲り。しばらくの間そうしていたが、時間を置いてなんとか冷静には戻ることができ、さりとてもう一度眠るという気分にもならず、ふらりと立ち上がり花でも見ようと庭に降りて)

お名前:残り文字

本文:残り文字

[下書きを保存] [下書きを復元] [メモ帳に保存]