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動けるならば、あんたとの約束もあるし俺が行くんだがなぁ。流れで気張るかもしれんし、気張れないかもしれんし、どうなるか。 ……明らかに牙を向いてくるような奴以外は平気になっていきたいもんではある。あんたは気に入ってるわけだし。 顔繋ぎのつもりだったが、本来なれば無礼者だしな。ああ、感じていた通りであっていて何よりだ。確かに、明るい話題を提供しにくい舞台だ。気遣いいただきありがたい。 ―――― (庭にはどこから種が入ってきたのかもわからないような雑多で小さな花などがそこかしこに顔を覗かせており、裏の井戸周りから順繰りに居住区の外庭を巡り。客を通して見せるためのものではないとはいえ、野放図ではなくある程度整えられたそこは、外を知らない身からすれば十分なもので、過敏になっていた精神が落ち着いてくるのを感じ) ……、旦那……? (少し入り込みすぎ楼主の居住区にまで足を進めていたのに気が付いたが、戻るより先に縁側に倒れ伏している見慣れた着物の主を見つけ、何事かあったかと急ぎ足で近寄り。あまりに無防備に、静かに寝ているなものだからかなり近付いてからその事実に気が付き、慌てて音を殺し後一歩もないような場所で立ち止まって恐る恐る顔を覗き込み、なんとか起こさなかったようで胸を撫で下ろし。中郎が掃除などをしている以外静まり返っているとはいえ、夜着の一つも持ってこさせるぐらいしなければと思いはするが、疲労の濃い顔を見るにあまり眠れてはいないのは明白で、起こしてしまわぬよう動くことも出来ず、ならばせめて庇代わりになろうと立ち位置を調整して。とはいえ想い人の無防備な姿を誰にも見せたくないという下心がなかったわけではなく、何もしないから見つめるくらいは許して欲しいと誰に聞かせるでもない謝罪を心の中で唱え、もし起きる兆候があればすぐに姿を消そうと逃走経路は横目で確認しておき)

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