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[33] 右京
名前が引き金になってしまうとは…なかなかに難儀な性分だね、お前も。…いや、私ももしかしたらそうなのかな。お前に普段呼ばれない分、反応はしてしまいそうだ。 ……痛め付けられる方がマシなんて、そんな悲しい事を言わないでおくれよ。そんな思いをさせてしまうならば犬に慣れないままでいいと思ってしまう。 おや、そんなお人もいいね。私達の事情を察してくれるのは中々有難い御仁だ。…もしかしたら、世にいういらぬお節介と言うやつになるかもしれないけど、それはそれでなかなかに楽しくなるかもしれない。 ──── (なぜ自分でもその名前を呼んでしまったのか分からない。ただ、酷く愛おしく、切なくて仕方なくて、自分と同じ境遇で生まれてきたのに、何故こうも違っているのだろうと。再び目を閉じたところでふと、背後から息を呑む音、同時にこちらの名前を呼びかけて止めた声。その声に聞き覚えがあり、思わず目を見開くと床に手をついて体を起こし) ……、……隻? (響く足音に慌ててその方向を見ると、丁度廊下の角を曲がっていくその背中が見えて。慌てて庭の方にやっていた足を廊下に乗せて立ち上がり、足早にその背中を追いかけて。自分が相手の名前を呼んだのを聞かれたと思うと恥ずかしい、しかし何故それで相手が逃げるのだろうか。それを聞きたい、聞かなければいけない気がする、と。廊下の角を曲がり、少し先に見える相手に手を伸ばし…、ここで普段運動をしない弊害か、足がもつれて前のめりに転んでしまい)

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