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[55] 右京
はは、それはいいね。千早経由で情報が貰えるならば、結構色々と知れそうだ。……まぁ、あまり無粋なことはしたくないし、根掘り葉掘り聞く気は無いけれど。 …そうかな。そう言ってもらえると少しだけ心が軽くなるよ。ありがとう。切り離してのモブ描写はあまりやった事がなくてね…。 疑心を持ったかと言われると少々疑問ではあるけれど、揺さぶられはしたかな。少しだけ不安定になって甘えさせてもらうことにするよ。 ―――― 真っ当な恋慕、なんて。生まれてこの方ここから禄に出た事も無い人間が理解できるとお思いですか。…その時その場に居る2人が、お互いが好きだと錯覚している。それだけでも私はそれを恋情であると認めますよ。…あぁ、早かったね、千早。あとは任せたよ。 (相手の言葉はこちらに向けられたものではない。世間一般で言えることを話しているだけで、こちらには意見を求めているだけだろう。分かっていても何故か心が抉られる気がしてしまい、小さく唇を噛むと何処か必死な様子で言葉を紡ぎ出していて。お客様相手にこんなに躍起になるのはいけない、そう思いながらも口は止まらず。そんな中に不意に響いた女の声は、自分には救いの手に思えて。言葉少なにそそくさと、逃げるように退室し、彼女がお客様の傍に行くのを横目に戸を閉めて。そこにずっと居てくれたのだろう、不寝番の彼にお礼を告げつつ、戻ろうと先に立って歩くように誘導して。しかし相手の背中を見ていれば、何となく、本当に特に何も考えずにその袖を軽く引っ張り引き留めて。その背中に額を押し当て、細い息を漏らして。うっすらと筋肉が浮いていて、肩幅が広い。生まれは殆ど同じものであるというのに、背中一つ取ってもこんなにも違う。当たり前のことだと言うのにそれをしみじみと感じてしまえば何だか可笑しく、ふ、と口元を笑わせて。何故か酷く安堵し、そして安心したせいだろう、何だか涙が滲み。気が付かれない様に祈りながら暫くそのままの姿勢でじっとしていて。) 隻、有難う…あぁ、こちらを振り向かず、少しだけそのままで居ておくれ。…あのお方と話すのは楽しいが、少々疲れるね。

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