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[12] アリサ
(視覚を閉ざしていても、否、閉ざしているからこそより鋭敏に感じ取れる貴方の声に含まれる自罰の念と、言葉とは裏腹に自身が離れようとする気配にこちらから一歩踏み込み一際強く抱き締めてから身体を離すと目を開けて)
……まだ、私は名乗っていなかったわね
アリサ・ラウドフィールド、魔術師の端くれです
貴方にもう一度選択の機会を与えます
(そう微笑めば徐ろにシャツのボタンを外し何の躊躇も無く脱ぎ広げ、化繊のみが残る部分を見つめれば)
──綺麗、蜘蛛の巣みたい……
(そう小さく呟き脱いだシャツを小脇に抱え東側の壁に沿って七歩歩き、近くに無造作に転がる金色の林檎の置物をその七歩目の足が踏んだ床に置けばプリースト・ホール──エリザベス1世の時代にカトリック司祭を匿った隠し部屋だ──宛らに作られた屋根裏部屋から二階の廊下に降りるための出入口を開け改めて貴方の前、手を伸ばせば簡単に触れられる位置に立てば、既に血は止まっているもののまだ乾かない右人差し指の傷口を舌先で一舐めすれば貴方を見上げ)
カインは血が怖い?嫌い?
──私はね、好きになっちゃったの
ほんの箱庭に再現した勇士達の武と智、誇りをぶつけ合う戦場と、彼等に寄り添う女神達が注ぐ真実の愛を識って、感じて……昂りに任せて自分の血はどの部位も味わってみたわ
好奇心のまま処女を代償に血を舐めさせてもらったし、行為を代償にそういうことは何度も試しました
おかしいって思うでしょうけど、その通り
私には血が葡萄酒より甘く感じられるの
……家畜は作物無しでは生きていけない
命の根幹を育て、愚かな神にそれを蔑ろにされたカイン
私の隣は貴方が良い
貴方の神の子はその血は葡萄酒、その肉はパンとされて、その血でもって水に恵まれない私達の先祖を生かしました
……葡萄は、貴方が丹精した植物の仲間よ
命の恵みを味わって興奮する変態をマスター
(パートナー)になんてって思うなら、黙って下の階に降りて
そうじゃないなら────血よりも甘くて夢中になってしまいそうな、情熱的なキスをして
(要領を得ない自己紹介の末に無茶苦茶な二択を投げかける目はその内容に反し真剣そのもので、期待と不安も隠さず揺れる瞳はただ静かに返答を待ち)
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ありがとうございます!
変態でごめんね、カイン