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[4] 矢上継克
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。」 山中、少し開けた土地に和装に身を包んだ少年が一人。突き出された右手からは鮮やかな血液が滴り落ち、それは地面を這って陣を成していく。 「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。 閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する。」 血液は円に閉じ、その中身を満たしていく。一滴、一滴と陣が紡がれていくたび、それは光を帯びていく。 「――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」 陣は成され、そこから放たれる熱風が周囲の木の葉と少年の髪を揺らす。少年の魔力回路がその熱風の圧力に答えるように活性化した。風は最早暴風となるも少年は揺らがない。鼓動を早めていく心臓にさらに魔力を注ぎながら、"激発"を待つ。 「誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ…!」 今まで燻っていたものが全て燃えるような、激しい熱と光。それでも少年は目を見開き、それから目を逸らすことはない。

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