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……誰だ。 (瞳が紅へと変わると同時に、荒かった呼吸もすっと静まりゆっくりとした動作で俯かせていた首を擡げた。窓から差し込む月の光、遠くで騒めく木々の音すら、この家の主人の姿に合わせて不気味さを増したようにさえ。其れ等に混じるようにして人の息遣いが聴こえた気がして其方に視線を向けると、戸の隙間から此方を覗き伺う──というには恐怖よりも好奇心の方が色濃い様な、此方を真直ぐに見据える闇色の瞳と視線が重なった。相手を射抜くような、獲物を逃がさんとする蛇のような鋭さを纏った鋭い瞳で見つめ返しつつ、たった一言そう尋ねただけ。完全に別の人格に支配され、彼との出会いを知る由もなく相手の返答を待ちつつ、人間で有れば心を喰らい空腹を満たせると踏んでいて)

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